婦人科診療一般

陰部のしこりやかゆみ、帯下の異状、月経に伴う症状や不正出血など、気になる症状は何でもご相談下さい。

●婦人科の診察方法

婦人科では、どのような症状であっても、基礎的な診察として内診を行い、子宮・卵巣など女性特有の器官に異常がないことを確かめるのが基本です。最近は、経膣的にプローベを挿入して超音波検査を行うのが普通です。内診を希望しない方や性交経験のない方は診察の前に申し出ていただければ、配慮をいたします。

<当クリニックでの婦人科診療の基本指針>

●女性を見たら妊娠を疑え

普通の生理と思っていたら流産による出血だった、腹痛の原因が子宮外妊娠だった等、女性のさまざまな症状に妊娠が関係していることがあります。

●子宮がん検診は20代から

「子宮がんは高齢者の病気」と思っていませんか?確かに「子宮体がん」は50代の多い病気ですが、一般の子宮がん検診で見つかる「子宮頚部がん」は30代で最も多く発見されます。早期発見のために、子宮がん検診は20代から始めることをお勧めします。

●生理不順

ホルモン分泌機序の乱れと考えられます。年齢・妊娠希望の有無により対応が異なりますので婦人科専門医のアドバイスを受けましょう。基礎体温あるいは生理日の記録があると診療の参考になります。また、「不順な生理」による出血ではなく、異常妊娠や子宮の炎症・腫瘍などによる出血の場合もあるので放置するのは禁物です。

●生理痛

なにも病気がなくても激しい生理痛が起こることがありますが、子宮や卵巣に病気がないかどうかを確かめることが必要です。生理痛の原因となる病気には子宮筋腫・卵巣嚢腫・子宮内膜症・子宮腺筋症などがあります。生理痛への対応については「対応できる疾患」の「月経困難症」を、それぞれの病気への対応は「対応できる疾患」の各疾患の項目をご覧下さい。明らかな病気がない生理痛の場合、鎮痛剤・漢方薬の他、低用量ピルが効果的な場合もあります。

●生理の量が多い、少ない

生理の量には個人差があり、必ずしも病気とは限りませんが、子宮や卵巣の病気、ホルモンの異常の場合もあるので婦人科でご相談ください。生理の量が少ないときは無排卵性月経など、多いときは子宮筋腫や子宮内膜増殖症などが考えられます。

●生理が遅れている

妊娠していないかどうかの確認が何よりも重要です。避妊したつもりでも100%妊娠を防ぐ避妊法はありません。妊娠でなければホルモン分泌機序の乱れと考えられます。年齢・妊娠希望の有無により対応が異なりますので婦人科専門医を受診しましょう。

●基礎体温がおかしい

低温期、高温期の途中でも多少の体温の上下があるのが普通です。また、基礎体温だけで排卵日を特定するのは専門医でも困難なことです。測定法に問題がある場合も多く、一度婦人科医に相談するとよいでしょう。

●出血がある

一時的なホルモンの乱れなど、心配のないものが多いのですが、子宮がんを始めとした重大な病気の症状でもあります。生理以外の出血、閉経後の出血があったら必ず婦人科で検査を受けましょう。

●陰部がかゆい

カンジダ、トリコモナス、毛ジラミなどの感染症の場合があります。それぞれ治療法が異なりますので専門医の診断が必要です。

●カンジダ感染症

カンジダという真菌(カビの一種)による感染症で、かゆみと白い酒かす状のおりものが特徴です。症状と診察所見でほぼ診断がつきますが、培養法や顕微鏡検査で確定します。膣の洗浄と抗菌剤の膣内挿入、軟膏塗布を1~2週間行います。難治性・反復する場合などは内服治療も行います。他の病気で抵抗力が落ちた時や抗生剤の内服を続けた時に、カンジダが繁殖しやすくなります。

●トリコモナス感染症

トリコモナスという原虫(寄生虫のようなもの)による感染症で、激しいかゆみ・おりものが特徴です。症状、診察所見、おりものの顕微鏡検査で診断します。膣の洗浄と適切な薬剤の膣内挿入、内服治療を行います。通常は約10日間の治療を行います。多くの場合、パートナーも感染していますので、再感染を防ぐためには二人で治療を受けることが大切です。

●クラミジア感染症

クラミジア・トラコマティスという病原菌による感染症で、主として性交渉により感染します。症状は無症状から重症の腹膜炎までさまざまですが、多くは子宮頚管炎によるおりもの、卵管炎による腹痛です。子宮頚管からのクラミジアDNA検出、血液中の抗体検出で診断します。通常は1~2週間の抗生物質内服で完治しますが、適切な治療を行わないと慢性化することがあります。近年、10代・20代の若年者の間での感染が広がっています。慢性の感染や繰り返しての感染が子宮外妊娠や流早産、不妊症の原因になります。また、出産時に感染があると新生児に結膜炎や肺炎を引き起こすことがあります。感染が明らかな場合、パートナーも感染していることが多く、パートナーも治療しないと感染を繰り返すことになります。

●おりものがある

膣炎・子宮頚管炎の他、STD(性感染症)・ホルモンの異常・子宮がんの事もあり軽視は禁物です。

●下腹部が痛い・しこりがある

妊娠に関係した子宮外妊娠・切迫流産の他、卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮や卵管の炎症などで激しい腹痛を起こすことがあります。しこりの場合には、バルトリン腺炎、コンジローマ(ウィルス性のいぼ)などが疑われます。稀に外陰部のがんの場合もありますので、痛みがなくても専門医を受診しましょう。

●性感染症(STDが心配)

一人で悩まずに婦人科で相談するのが一番です。病気によっては子宮外妊娠、流産、不妊症、母児感染など、将来に影響することがあります。受診に際しての個人の情報が、他人に漏れることはありません。

●子宮筋腫

ごく小さなものも含めると、半数近い女性が子宮筋腫を持っていると言われ、過多月経、貧血、月経痛などの自覚症状がなければ治療を必要としない場合もあります。一般には上記の症状が激しい場合に加え、大きさが握り拳以上のもの、不妊や流産の原因と考えられる場合が手術の適応となります。当クリニックでは診断と保存的療法(対症療法、漢方、ホルモン療法)を行っており、手術が必要な場合は提携医療機関にご紹介します。

●膀胱炎

頻尿、排尿、残尿感が三大症状です。症状と尿検査により診断は容易です。数日間の抗菌剤内服で完治します。トイレをがまんしない、水分を多量にとるなどの注意が必要です。女性の膀胱炎の多くは、膣や外陰部の細菌が原因です。膀胱炎を繰り返す方はおりものの細菌検査も必要です。